「study 82 / メランコリー 傘が雨を連れてきた」

「study 82 / メランコリー 傘が雨を連れてきた」
2023年 6月13日(火)、14日(水)
15:00〜19:00

なだらかな坂道を真っ直ぐ上っていく国道ではなく、急坂を一気に上って下り再び坂を上ってゆくうねうねした道を選んで学校のグラウンドまでダッシュしたのは、昨日の試合で頭上高々と上がったフライボールを楽勝と構えたグラブに当てながら落としてしまったからだ。
はあはあ息を切らして坂を上りきると唖然立ちつくしてしまった。地面から水蒸気がゆらゆら立ち上り一面真っ白だ。
グラウンドが消えた。 
それでわかったんだ。学校のグラウンドは金網を越えて、大地で世界だったんだ。ぼくは地球の白い息の中でしっとりと濡れていた。そこはボールを取り損なってエラーしたときのように音がない。 不意に靄から兎が顔を出し「ボールは落ちるんじゃないんだよ」と言って走っていった。駆け抜ける速度が大気中の水蒸気に線を引く。
ぼくも一粒の粒子。

風が止みましたね
雨の線が細くなってきました 
折り畳み傘を閉じ水溜りを踏んで行きましょう 雨は
落ちる のでしょうか? 
雫をすべて受けとめて、
持ち帰りましょう