「三つの平面による構成」 七日目(比留間雅人

五日目、六日目はダウンしてしまい記事の更新できず。六日目と七日目は、Y氏K氏にいただいたダメ出しをうけて微修正。他の二枚の「平面」の掲示の仕方も検討する。つきなみであることを表現としてコントロールするのは本当に難しい。
・・・・・・・・・・・・・
昨日は日中法事で東京を離れていた。生前あったことのない親族の法事。存在しない記憶を辿った。
・・・・・・・・・・・・・
306号室の扉には、写真と挨拶状が掲示されている。
写真には、二人の女性が映っている。中年の女性が腰をかけ、その横に若い女性がたっている。丸鏡が3枚、壁に掛かっている。
挨拶状は昭和34年元旦の日付と、「スダ美容室/スダヘルスビューティ」との署名がある。なんでも、スダ美容室が新たにヘルスビューティという、今でいうエステサロンのような業態の店舗を展開しようとしている、とのこと。306号室は美容室だったということ、そしてこの中年女性が経営者であるスダさんだ、ということがわかる。
306号室の内部は、扉の通気口から見ることができる。それは、かつてここにあった美容室の、現存する物理的な証拠だ。写真と挨拶状を見た者は、通気口からの景色に、「かつてここにあった」ナニゴトかの痕跡を探る。
しかしこの景色を見るとき、通気口のスリットが邪魔をして、常に片方の目でしか見ることができない。単眼での視界は奥行きを失い、景色は色で構成された平面となる。
写真と挨拶状と通気口からの景色は参照関係にある(ほんとうは循環参照の関係なのだけど)。それは306号室を、歴史性の堆積した、つまりは奥行きのある空間の表象(平面)として取り込む。その一方で、通気口(他でもない306号室の部分)が剥ぎ取る306号室の景色は、単なる色のシミとしての平面でもある。今回の企画は、この二様の平面への視差において、306号室をとらえる実験だ。